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たまの映画 [ ・たま]

●いつか取り上げたいと思っていた音楽集団、「たま」。
FLYING KIDSやBEGINを輩出した、いわゆる「イカ天」で一躍、全国区で有名になったバンド。

編成はアコースティック。
基本は、フォークギター、オルガン・アコーディオン、ベースギター、
打楽器(鍋やら桶やらクッキー缶から、高橋ユキヒロ氏のタムまで)を操る。
その伴奏に乗せて印象的なメロディーが、超クセのあるボーカル・ハモリで奏でられる。

一時期は全国各地のホールツアーを満席にする人気。
1995年にメンバーの一人(柳原幼一郎)が脱退し、3人で活動を続ける。
2003年に解散。現在はソロやユニットで活動。

その「たま」の映画が作られたそうです!

 「たまの映画」公式サイト

どうも「解散後」の活動を描いたドキュメンタリーっぽい感じに見えます……。


●「さよなら人類」で知られる、「たま」。
……って一言で、片づけてほしくないバンドです。

詩作は深い。そしてシュール。メンバー、かなりの文学通。
歌詞の一言ひとことが印象的で、今でも夜道を歩いていると
雲の流れるスピードが気になりますもん
(そんな風景の歌詞がね、あるんです)。

哀愁漂うオルガン。
渋くて歌っているベース。
どこか流しチックなギター。
表情の豊かなパーカッションの音。
それらが複雑で完璧な塊にアレンジされています。

演奏技術は、実はとても高い集団。
パーカッション、格好こそは「裸の大将」だけど、
細かいリズムも乱れず正確に打って全体をまとめているしさ
(確か若いころ短期間、太鼓のプロ団体に所属していたんではなかったか)。
フレーズを決めてなくてとんでもない方に行っても、最後にちゃんと戻ってくる人もあり。
今思うと、スタイルは異形だけど「ジャズか?」と言いたくなるアドリブ演奏。
下手だったら、あんな演奏できないよ。

ライブパフォーマンスが最高でね。
アドリブの合いの手が入るのも日常茶飯事。
お正月のライブなら、曲中に「賀正~っ!」って雄叫びが入る。
語りやらセリフやらが入る曲もあり、どこか演劇チックでもあったなぁ。
※意外に「グループ魂」の「中村屋」が近い!?(笑)。わからない人は検索してみてね♪ あれを音楽でやっている、感じです。

どこを切っても「豊か」なんだよね~。

論より証拠、いっぺん聞いてみてください、というより他なし。
昭和歌謡でも童謡でもフォークでもブルースでもない、深くておかしくて、やがて悲しい……
いろんなものが詰まっています。

まちあわせベストアルバム

まちあわせベストアルバム

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: NIPPON CROWN CO,.LTD.(CR)(M)
  • 発売日: 2009/03/04
  • メディア: CD
上記で代表曲は「らんちう」辺りだけど、あまりご存じない方には抵抗が強いかも。
ポップで、冒頭から「たま」の技術がフルでわかる「オゾンのダンス」の試聴がお勧め♪ 
私としてはオリジナルアルバムの『ひるね』がベスト。

あ、でも個人的に、モッタリ感のあるCD音源は好きじゃない(^^;)。
エコーやらディレイやらの小細工が多すぎるし、生きてないもん、音が。


●話を本題の映画に戻しますと。
有名になった時点でのオリジナルメンバーは4人
石川浩司さん(ドラム)、知久寿焼さん(ギター)、滝本晃司さん(ベース)、
柳原幼一郎さん(ギター・アコーディオン・オルガンほか)。

一部メンバーの印象をビートルズやユニコーンにたとえると
「知久:柳原=ジョン:ポール=民生:阿部」……
と思っていただけると、(ファンなら)話が早いです(笑)。

「ポール≒阿部≒柳原(以下、ヤナちゃん)」は、
いずれも音楽的に引き出しが多くて器用。
曲もたくさん作るし、ハモリ他の歌唱力も高く、
その人がいるかいないかでバンドの色が大きく変わってしまいかねない……
という意味で、似ています。

で、オリジナルメンバーは4人だし、
脱退したもののヤナちゃんがいかに重要な人物の一人であるかは以上の通りだし、
4人で「たま」だよね? と思っているのであります。

が。
冒頭の「たまの映画」、出演者は3人だけ。
ヤナちゃんのクレジットなし。

……う~ん。

例えば、よ。
「ポール・マッカートニーだけインタビューしてない、ビートルズの特番」って、ある?
ないです(笑)。
故人は別にして、他のメンバーにインタビューしたなら、
ポールのインタビューは絶対に欠かせない。
それを欠かしたかのような、「えぇぇっ!?」って違和感があるのでした。

でもなぁ。

4人だったのは、「1986-1995年末」の約9年間。
3人になってから解散までは、「1996-2003年」の約7年間。
3人になってから私が聞かなくなったってだけで、
3人で「たま」として活動していた期間も長いんだよねぇ……。

なのに前半の9年間だけを「たま」だと思っている時点で、
私の方が勘違いしていると言えなくもないよね。
それは3人になってからの「たま」に失礼でもあるよね。ゴメンナサイ。


●ヤナちゃんは、脱退してソロ活動を始めた。
初ソロアルバムは「アメリカン・ポップス」寄りで、「たま」と全然違う空気のもの。
ソロライブにも行った。ヤナちゃんの歌唱は大好きだったけど、
それ以上に好きだったジャズのような「4人での化学反応」が
当然なくて、寂しかった。

DRIVE THRU AMERICA

DRIVE THRU AMERICA

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1995/02/22
  • メディア: CD
ヤナちゃんの中で、もしくは「たま」3人の中で、
「4人で『たま』だったこと」が消化できていないのかなぁ……?
と、映画のクレジットを眺めながら、またちょっと寂しくなってしまったのでした。
「音楽性の違い」とか何とかかんとか、何があったのかわかりませぬが。

ビートルズみたいに、「再結成なし」?
そんなところをマネしなくても……(;_;)。

しかし、改めてベストアルバムの曲目(以下)を眺めていると、
ヤナちゃん一人だけ、かなりポップだったんだなぁ~。

曲調が違うっちゃあ、違ったのかなぁ~。
当時は溶け合っているように見えていたんだけどなぁ~。
以下、Amazonより「まちあわせベストアルバム」収録曲名を抜粋。
カッコ内作者名は加筆(多分こうだったと思う……)。
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1. まちあわせ(石)
2. 方向音痴(知)
3. オゾンのダンス(柳)
4. 夕暮れ時のさびしさに(知)
5. 学校にまにあわない(石)
6. 海にうつる月(滝)
7. そんなぼくがすき(知)
8. かなしいずぼん(知)
9. きみしかいない(知)
10. 星を食べる(滝)
11. 満月小唄(柳)
12. マリンバ(柳)
13. おやすみいのしし(知) ←共作だったっけ??
14. らんちう シングル・ヴァージョン(知)
15. さよなら人類 シングル・ヴァージョン(柳)
16. ばいばいばく(柳)
17. らんちう アルバム・ヴァージョン(知)
18. さよなら人類 オリジナル・ヴァージョン(柳)
-------------------------------------
「ばいばいばく」がベストに入るか~。ちょっと意外。

当時はキャラの濃い全員が好きだったのだけど、
こうして見ると音楽的にはヤナちゃんの作品に好きな曲が多い。
きっとヤナちゃんが、「たま」のアンダーグラウンドっぽい世界と
私のような感性の鈍い者との間を、
ポップな味付けで橋渡ししてくれていたんだと思う。


●「たま」をアンダーグラウンドっぽい、と書いてしまったけど、
そういう言葉でくくるのも、しっくりこない。
3人時代のものらしい、バッハのアレンジを聞きました。
バッハの曲は苦手、最後まで聞き通せたのは初めて。
なんて味のある演奏、なんて編曲力のある音楽家たちなんだろう!

3人の、これまで私の知っていた「たま」とは違った世界を、初めて知りました。
これから「掘り起こし」作業に入るかも……!?


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